たそがれの海と新年


ドイツに住むようになってからはじめての1ヶ月以上の帰国になった。
1ヶ月もいると里心とでもいうようなものが出てくるのか、どうも
帰ってきた、という実感がない。でも、確かに私はまたはるばる地球を半回転
戻した、ドイツのアパートの5階に帰ってきた。


同居人の猫が当たり前のように私の部屋で眠りはじめる。
空の冷蔵庫のためにスーパーマーケットに行く。
暖房を再び入れる。
洗濯をする。
掃除をする。


カチカチと音を立てて生活のリズムが一つ一つ戻って行く。
もうどちらが本当の生活なのだかよくわからなくなってきた。


1ヶ月もいたので、いろんな人に会ったり、いろんな所に行った。
でも最後に私の胸を刺したのは、この湘南の海か。
神奈川育ちなので、子供の頃から海と言えばこちら江ノ島
江の電に乗るとどうしてこんなに切なくなるのか。
列車から見える風景は、急に自分が青春映画の世界に入ってしまったかの
ような気持ちにさせる。自動的に真夏の果実がバックに流れはじめる。


鎌倉散策をして、日本っていいなーとお手軽京都体験をしつつ、
おいしい料理をたべて、八幡宮にお参りして、海岸へ繰り出して夕日を眺めて
ビールに舌鼓。こういうことは生活の本質ではないのだけれど、やはり何か
逃走が必要なのだ。たまには。


今年もいい年になりますように。