BABEL

jiu2007-03-06

週末に映画を久々にみた。
知らない日本人の女の子が出ているポスターが張ってあったので
気になっていたのだ。日本人というだけで反応してしまうのは変なのだろうけれど、
ここでは仕方が無い。


ロッコ/トウキョウ/アメリカ/メキシコ
4つの場所で3つのストーリーが脈絡のないままに進んでいく。


グローバリゼーションという言葉の響きが空虚なほど、それぞれの
ストーリーの世界は遠く離れている。世界はいまだってこんなにも違う。


人々は古今東西、どんな世界の状況下でも、日常生活というものがあり、
それぞれその些細な悩みから人生の悩みまでいろいろかかえて生きている。
まったく絶望的でもないけれど、でもやっぱり楽観的でもない
この現在の世界の生温い温度感が上手く伝わってくる。


そして、そんな小さなスケールのはずの日常の物語が、何かの偶然で全くスケールの違う
世界に突然接続してしまう。この異なるスケール間、いいかえればローカルと
グローバルの間を行き来する不思議な感覚が心地よい。現実感なくネットを
さまよっている現代人にはぴったり来る設定のような気がする。


監督はメキシコ人だ。
それぞれのシーンはそれぞれの国の言葉のまま流れて行く。
スペイン語アラビア語、日本語、英語・・・と言葉の洪水。


神様はバベルの塔を作ろうとした人間を戒めるために、人間たちを異なる言葉を話す民族に
分けた、らしい。そこから世界の混乱がはじまった。そのときから、人々は意思の疎通ができなく
なってしまったのだ。なんと迷惑な話だ。
いや、これこそが世界の豊穣を作り出したのだとも言えるのだろうか。


しかし、言葉の壁はこえられても、国境の壁をこえることはできない。
現実は厳しく切ない・・・。
ああ、これがバベルの塔のお仕置きなのですか、神様?


PS:
メキシコ人役(本人もだけれど。)のガエル君は去年のゴンドリーの
"SCIENCE OF SLEEP"でシャルロット・ゲーンズブールと競演していたあの人。
いや〜この人はいいです。BABELもSCIENCE OF SLEEPも日本ではこれから公開デス。
http://babel.gyao.jp/
http://renaisuimin.com/