蝶の舞う季節


には、まだ早いのだけれど、昨日からクラシックのCDにしては珍しく美しい装丁のこのアルバムをずっと聴いていマス。ほとんどジャケ買いだったのにものすごくよかった。めくるめく浮遊感。蝶が闇の世界からはらりとすり抜けて来て、白昼夢をみせてくれるような。ピアノのオトが限界まで美しい。こういうオトが聴きたいからピアノを聴いているのだ、と思う。カルネヴァール(謝肉祭)というのは、クリスマスが終わってイースター(復活祭)までの断食の季節が始まる前、冬から春になる前のまだ暗さの残る季節に、仮装した人々が街に躍り出て一昼夜踊り続ける祭り。春の到来を祝う祭りで、ヨーロッパ中である。人の狂気と歓喜が一体化する。そして謝肉祭の仮装といえばやはり道化。


カルネヴァールと蝶と道化。これ以上ないような舞台装置と役者がそろった。
シューマンの旋律の軽さが、狂気と紙一重の雅やかな白い世界につれていってくれる。
そうか、桜だ。春の狂気といえば桜の森の満開の・・・

シューマン:チョウチョウ 他 [Import] (PAPILLONS CARNAVAL)

シューマン:チョウチョウ 他 [Import] (PAPILLONS CARNAVAL)


ドイツにくるまでカルネヴァールといって思い出すのは実は軽さとは遠いイメージだった。吉野朔実の「La Maschela」というこれまたヴェネチアの謝肉祭を舞台に繰り広げられるミステリーがある。ジュースキントの「香水」を思い出すような怪しくて、狂おしくにおいたつような美しい作品。なんと、今気がついたら絶版になっている・・・。うわー。なんということ。(表紙の絵をさがしていたのだけれど見つからない・・・。)

La maschera (ぶーけコミックス)
ある人殺しの物語 香水 (文春文庫) (←この人は世界中の人があっと驚くような本を一冊だけ書いてあとは隠れて暮らす、と言っていて本当にそのようになった奇跡の変人小説家。)