筏に乗りて。

楽毅」読了。やっぱり一週間に文庫でも4冊一気読みはしんどい(笑
歴史モノを読んでいるとどうもおじさんになった気分になる。
こういうのは定年後の楽しみにとっておきたいよなあ、と
思うのだけれど魔力的面白さを断ち切るのはムズカシイ。
高校の時のまだドイツが2つの国だった頃の歴史年表と世界地図を
引っ張りだして来てみたりしている自分がときどき・・・。
(かろうじて,ローマ人シリーズには手をださないようにしている。
やめられないのは分かり切っているから(笑))


外国で暮らしている日本人なら多かれ少なかれ感じていているだろう、
自分の生き方に対する疑問。
人としてよく生きればそれでよい、のか
日本人としてやはり日本でよく生きたい、のか。


先週、勇気を振り絞って日本に帰ってがんばっていた友人がやっぱり
日本を捨てますといってまた外国に行くことを高らかに宣言した。
ああいう気概をもった人が本当に日本の将来を背負っていくべきなのに。
もう彼女は2度と自分からは帰らないかもしれない。
今も昔も、本当に有能な人材を正しく見抜ける権力者は奇跡なのだなあ、
と物語の吸い込まれるような華々しい展開とは別に
しばし暗い気分になりながらこの小説を読んでいた。
今の彼女が自然とこの小説の主人公の哀しさに重なる。
自分を本当に買ってくれるところが自分の国にないとしたら?嗚呼。


道おこなわれず。筏(いかだ)に乗りて海に浮かばん。「孔子
(国家に正しい道がない時、流亡の旅もやむをえない。)