ダンスダンスダンス!


昨日、久々にダンスをみにいった。3人の気鋭(らしい)の振り付け家による3つの作品を某M市立劇場付きダンサーたちがおどる。
Ko"rpersprachen=身体言語 というシリーズ。1つはフォーサイスの96年の作品で、やっぱりどれよりも面白かった。
(他の2つはシュテファン・トスとマルコ・ゲッケという振付家の作品。)


究極に身体の表現の可能性を追求しているフォーサイスの振り付けは、無駄がいっさい無い。いくつかの動きの組み合わせと切れ切れになったベートーベンの交響曲の数小節がひたすら繰り返されて、重なり、またずれていく。10年も前の作品なのに、少しも色あせていない。特徴的な動きの1つは身体の一部を強調してみせる、というもの。怪我したときに子供がやってみせるみたいに。おなかを出してみたり、ほおをふくらませてみたり、注射で肩を出す時のように腕をのばしてみたり、お尻を両手でマルく囲ってみたり。ひざをカクっと折ってみたり。その一瞬止まるダンサー達の表情がまた何ともいえない。洗練された動きの中にこの不器用な動きが織り込まれ、日常と抽象の世界のギャップが一気に縮まるような錯覚/齟齬を引き起こす。


いつものようにヴィヴィッドな色の衣装が動きに輪郭/残像をつくっていく。


他の2作品はストーリーと演出に頼るところが大きくて、パフォーマンスとしてみれば面白いアイディアはたくさんあって美しいのだけれど、でもそれなら生のダンサーでなくてもいい訳で(映像の美しさに勝てない。)、目の前でダンサーが踊る気迫という点ではフォーサイスを越えるものではなかった。とくに後半のゲッケ作品は黒い風船が舞台を埋め尽くしている中でダンサー達が踊る、というものなのだけれど、その演出がつくる世界観と音楽(中国語(?)の読経)がダンスを凌駕してしまって、ダンサーの動きが埋もれてしまっていた。あるイメージを作り出そうとしているのだけれど(例えばうごめく蟲の卵とか体内とかそういったもの。)、醜いもの、気味悪いもの、の世界を描こうとしているのに、あの美しさは何だ!(→あ,日本にもそういうアニメがありましたね。蟲愛づる姫。)魑魅魍魎の世界、はドイツ人にはできないのかもしれないな、とちょっと思う。


フォーサイス,見たことない人は是非↓(これは本人。)
http://www.youtube.com/watch?v=eSvY20Wo5ug&feature=related
この人と同じ時代に生きててよかった。


そしてこれ。すごいもの発見。DVDが出てたなんて。思わず瞬時に"買う"ボタンをおしてしまった・・・。
この作品を見ずしては死ねません。という感動的傑作。
もう一度(いや何度でも)、どこかで見たいなあ。(去年の日本公演でもやったはず、で身体がよじれる程、帰国しようかと思った。)

ONE FLAT THING, REPRODUCED [DVD]

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