生命とは何か
何年か前、千夜千冊で読んでからずっと気になっていたのに絶版だったので復刊ドットコムにもリクエストしていたこの本。実は1回復刊したのにもうまた品切れになっている。どーしたんだろう。復刊ドットコムからお知らせがきてさっそく買った本には2005年版重版って書いてあるんだけどなあ。「生物と無生物のあいだ」でも紹介されているし、二重らせんのワトソンとクリックが最も影響を受けたと言っている程有名な古典なのに、岩波新書はどうして増刷しないのだろーか。(などとくどくど書いているくせに、今週まで長いこと積読していた(笑))
- なぜ、原子はこんなに小さいのか?又は、生物は原子の大きさに対してどうしてこんなに大きいのか?
言われてみるととても不思議な質問です。生物がある秩序を保って今の状態でいる為には個々の原子の無秩序な運動状態から影響を受けないくらい大きくなくてはならなかった。これ以上でもなくこれ以下でもなく。こう考えると小人というのは地球上には存在しないことになっちゃってちょっとつまらないなー、なんて?
- 何世代にもわたって遺伝情報を保って行くための仕組みとは?
原子というものの物理・化学的性質からその寿命を考えて、その遺伝物質(要するにDNA。でも当時はまだその実体がわかっていなかった。)がどういう物でなくてはならないかを推察してく。それに加えて、どうやって突然変異(要するに情報のコピー間違い)が起こるのか、も考察していく。
- 人間はなぜ36度という体温を保ち続けていられるのか?
確かに、お湯を沸かしてもほっておけば室温になってしまう。自然の状態なら増大していくだけのエントロピーを増大させないで保って行くその仕組みとは?人間は負のエントロピーを食べている、などとちょっとおちゃめな表現なのだけれどこの後半戦の説明はちょっと難しい・・・
高校生のときにならった、原子や分子の知識と生殖の原理(染色体とか、減数分裂とか・・・。)の知識を脳みそのものすごく奥から引っぱりだしてきて、そのほとんどぼやけてしまった記憶をフル活用しながら読まないとついて行けない。異性体なんて記憶の彼方だ・・・。でも久々に普段使わない脳みその部分を使っている感じが楽しい読書でした。脳科学の本を読んでいたときにも、細胞の活動の揺らぎが思考に影響する、って言う話があって、その辺のことが自分なりにつながっておもしろかった。古い本だけれど、物理学者でも生物学者でもない私にとってはまだまだ刺激的な内容。
- 作者: E.シュレーディンガー,岡小天,鎮目恭夫
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1951/08/05
- メディア: 新書
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