アルタ前?


久々に,この人の日記で笑った。


「アルタ前のアルタは、ここのことでしょうか?」


ああやっぱり,この人の書く文章が好き。平然として、とっても変なところに引っかかってくるところ。
昔、学部の学生だった頃、この人の書いたエッセイ「牛への道」があまりに好きで,文庫本の表紙がとてもいい感じだったのもあって当時何人かプレゼントしてみたのだけれどあまり反応がなく、結構哀しかった。以来、一人の楽しみにしている。この人、宮沢氏の演劇は実際見ると実はあまり面白くなかった(私が素人だからだろーか?)のだったけれど(のに2回も行ってしまった。)、この淡々とした日記の文体はとてもしっくり来る。だらだらした切れ目のない文章でも最後までつい読んでしまう。牛への道だよ。遊園地再生事業団だよ。(この人のネーミングセンスは中沢新一なみにすごい、と思う。)


ガルシア・マルケスに出会ったのもこの人のネーミングのおかげなのだった。家族に宮沢氏の「百年目の青空」という新作エッセイを買って欲しいと頼んでおいたら(当時はアマゾンが普及してなかったのだなあ。)、妹が「百年の」と言えばあの有名な本のことだろうと勝手に勘違いして、留学後はじめて日本に帰国したとき、私の本棚には「百年の孤独」が鎮座していた・・・。それまでマルケスを知らなかった私も私だけれど、見たときには目が点だった。な、なんとご立派な本が。これ、私読むのかなー?と半信半疑ながら、とりあえずエッセイの方はあきらめてそれをドイツまで持ってきた。今ではあの勘違いに大感謝なわけだけれど(知らなかったらあんな重たい本買わなかったでしょう。)。読み始めてびっくり。なんだ、このすごい小説。まさに縁とは異なもの。不思議な出会い。


牛への道 (新潮文庫)

牛への道 (新潮文庫)