イメージを読む

jiu2008-04-27



若桑みどりさんの「イメージを読む」読了。去年,亡くなったときに彼女の本を読んだことがなかったので買ってみたのだった。ものすごく全うな美術史入門の本で、超に超がつきそうなほど有名な4人のルネッサンス時代の画家の作品が読み解かれていく。ミケランジェロ最後の審判ダ・ヴィンチモナ・リザ、最後の晩餐、デューラーメランコリア、ジョルジョーネのテンペスタ。といっても最後の2つは私などは知らない絵なのでしたが(泣 (テンペスタ(嵐)→)


いつから絵というのは作者がココロに描いた物を作者の考えで描くようになったのかわからないけれど、印象派の時代にはもう静物とか風景とか好きな物を描いてよいことになっていた。でもその昔、絵は作者が勝手に描くものではなく、クライアントがいて、その要求に合わせた絵を描いていた時代があった。建築と同じ。時代のスタイル(様式)があって、その様式の要求する形式にしたがって絵を描いていた。まだ世界がキリスト教の世界観に支配されていて、教会のために絵を描いていた時代。だから、500年たった今でも、その絵の意図することを想像できるし、研究する価値があるということらしい。そこにはルネッサンス時代の人々の世界観がたっぷりつまっている。神は本当にいるのかいないのか?なるほど、私などがルネッサンス絵画をみてもピンとこなかった訳だ。(そして、もちろんその決まり事を守らないでこっそり別なものをかいたりするジョルジョーネさんみたいな人がいたので、現代になっても研究者達が頭を悩ませているらしい・・・。)


現代絵画は見る人に解釈を委ねられている部分が大きいから、作者の意図とは別なものを勝手に読み取ってもいいのだけれど、逆にルネサンス絵画はそのように勝手に解釈するように描かれていなかったので、それらの決まり事を知らないと、意図されたものを全然受け取ることができていなかったわけだ・・・。ヨーロッパ人ならそれでもキリスト教の聖書の物語の主題なら理解できるからいいのかもしれないけれど、そういうコトが分からないとお手上げなのだ。もちろん、前知識なしでも見る人万人に感銘を与えてしまうモナリザみたいな作品もある。しかも、いまだこの人が誰なのか?すら決定論は出ていない。500年もの間人々を魅了しつつまだ謎を投げかけるダヴィンチおじさん。


かびくさーい美術史をとてもさわやかに分からせてくれる1冊。
まあ、この本1冊読んでも全くの入門編なので、建築でいったらファンズワース邸と落水荘サヴォワ邸を習ったくらいのことなのか(笑。

イメージを読む (ちくま学芸文庫)

イメージを読む (ちくま学芸文庫)

夏に帰ったら,次に進んでみよう。

イメージの歴史 (放送大学教材)

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