外国語の覚え方。体当たり方式


ひょんなことから学生時代にドイツに引っ越してきて、まる5年になった。
学生1年+現地のちいさな事務所で働き始めて4年。


まず日本での準備はくる前に3ヶ月間だけ集中講座というのに週3日通ったのと、
あまりにドイツ語ができないのを見かねたドイツ語教授が週1で3ヶ月ほど
基本文法の個人レッスンをしてくれたのみの超軽武装
ちなみに出身は工学部なので、学部時代に語学の講義は最低限しかとっていなく、
しかも2外は仏語・・・なのにどうしてだかドイツにくることになってしまったのも
なにかの運命ナノだ。


来てから最初の1ヶ月はサマーコースに通って、毎日朝からドイツ語漬け、
午後や夜は同じクラスの生徒たちと、下手なドイツ語会話を繰り返すうちに
1ヶ月ののちにはなんとか簡単なことなら聞いたり話したりできるようになる。
この時よかったのはなまじ私が英語ができなかったこと。留学生たちは
ヨーロッパの他の国の学生ばかりだったので、本当は英語ができただろう。
でも,私は英語で話しかけられたとしても、英会話を鍛えたことがないので
会話がほとんどできない、という情けない状態だったのが(後から考えれば)
幸いし(苦笑)、とにかく習いたてのドイツ語でずっと話していた。


ドイツ語を話すことに口がなれてくると、不思議なことに英語を話そうとしても
頭がうまく切り替わらない。会話はスピード対応していかないと取り残されて
しまうので、こうなるとますます英語は使わない悪循環。


大学がはじまって通い始めると、慣れたと思っていたドイツ語もそれは
Foreigner's Germanであって、ネイティブスピードには殆どついていけない日々。
それでも耐えに耐え,毎日授業に出席、ひたすらヒアリング練習と単語の
書き取りをしていた。


午後から夜はとにかくたくさん人と会い、さそわれたらどこにでも行き、
毎晩のようにパーティーに行って、なんちゃってドイツ語でばかみたいな会話を
初対面の人と繰り返していた。ヨーロッパの大学間には様々な交換留学の制度があって、
大学には留学生がたくさんいて、留学生向けのドイツ語コースや交流プログラムが
飽きるほどあったのもよかった。本題の専門科目のほうはさておき、最初の学期は
ドイツ語習得にあけくれていた。といっても文法をがりがりやるというのではなくて、
とにかく喋るのと、語彙をふやすことに熱中していた。
(私はそもそも大雑把な正確なので語学の文法学習が苦手なのだと思う。)


あのとき、とにかく毎晩のように
何故ドイツにきたのか?ドイツはどうか?この街は好きか?日本のどこから来たか?
と殆ど同じ内容を知らないドイツ人をつかまえては繰り返していたのが
実は本当に後で役に立った。話しているときはもちろんつまらないが、何度も同じ
フレーズを言っていると口がなれる。会話のリズムもつかめる。
当時は全然気にしていなかったが、ある日、日本語で考えずに口が勝手に動いている
ことに気がつき、はっとした。


繰り返してるからだ!


そんなこんなで来てから半年、最初の学期も終わろうとしてたころ、最初のアルバイトを
みつけた。たまたま知り合ったバイト先の人たちがドイツ語の下手な私の発音やら
文法間違いやらをひたすら直してくれ、夏学期はとんでもないことに学校へ行かず
バイトの仕事をつづけてしまった。おかげで3ヶ月くらいしたころには、彼らの会話は
ほとんど聞き取れ、自分もいつのまにやらネイティブスピードで会話できるようになっていた。


さて、語彙力800くらいの状態(来る前にやっていた単語帳のなまえがそんな名前だった。)
で中1、2レベル(過去形、現在完了形は分かるというレベル。複文になるとあやしい、
というところ。)でやってきて1年足らずで日常会話には困らなくなり、日本語を介さず、
自然に会話をできるところまで外国語は習得できるのだ。文法は英語の知識を流用しているから、
非ヨーロッパ系言語だったらもうちょっと時間がかかるのかもしれないけれど、きっと原理は同じだ。


もちろんこれは現地にいたから、というのが大きな要因だったかもしれない。


でも、外国語を話す、ということがどういう状態なのか、は分かった。
日本語を介さず、ドイツ語で聞いて、考えなくてもドイツ語で口が動くようになる。
それは本当にできるようになる。


とにかく聞く&話す。口が勝手に動きを覚えるくらい話す。
英語もこれをやって行こうと思う。
イギリスにいなくたって、アメリカにいなくたって、きっとできることはある。