休みの後に。


5日間、復活祭休暇でしばし世間から隠遁。それにしても、なぜこの時期に雪?気温がマイナス?もう桜だって咲いているのに・・・


突然ですが、講談社新書の装丁の話。これにやっぱりココロをいためている人は沢山いたのだ。某超有名ブログで記事を見つけて今日は朝から1人で満足&怒り爆発。あの美しい杉浦康平デザインの新書はどこへ。新書といえば、つい最近まであの古めかしい岩波か中公新書か、あの怪しくマニアックな雰囲気の講談社新書しかなかった。それかブルーバックス。年末久々に日本でリアル本屋に足を運んだら、急に種類が増えてどれがどれだかわからないという程の新書ブームの中、あの孤高の講談社新書がない!と思ったらつまらないポップなデザインになってしまっているではないですか・・・。装丁者本人の記事を読んでさらにガックリ・・・。


本には手触りと読み触りというのがある。内容だけでその本を買う訳ではなくて、とくにフォーマットの決まっている文庫を選ぶときには、その文庫の持っている丸ごとの感触、佇まいを含めて予感しながら買う楽しみがある訳なのだ。それは1冊完結のハードカバーにはない楽しみなのだ。

  • 新潮文庫のしおり。(←ここ参照。)そして裁ち落としなしの装丁。未完成な感じが、古くさくて懐かしい感じ。(ところで、なぜ岩波新書はしおりがついてないのにがたがた(裁ち落としていない)してるのだろう?)
  • 岩波文庫の白い表紙。(いや昔のバージョンのカバーがなくてハトロン紙で包まれているという感じも好きだけど。)最近は新潮より岩波派になってきた。
  • 講談社学術文庫のあの文字に満ち満ちた感じ。読み終わったときの充実感。(ちくまの学芸文庫より断然好き。)紺の背表紙がまた他を隔絶していて。
  • 岩波と中公新書。本はデザインでなく中身です、という素っ気ない態度こそが新書の進むべき道なのだ。新書は内容がUPtoDATEだからなおさら。
  • 昔の白水社Uブックス。中学1年でなぜかハマって読んだシェークスピア田中一光の装丁で、ジャケ読みの癖はこの時からか。(ライ麦畑だってあのピカソの顔がついている青と白の表紙でなくては・・・。)妙につんとして、でもレトロな味がある文庫。
  • 昔の講談社新書・・・。あのつや消しのクリーム色の表紙の紙は他の本を買うのとは違うドキドキ感があった。本文だってさりげない杉浦風レイアウトで好きだったのになあ。どうしてどうして(泣


本は本であるけれど、でも知識の詰まったオブジェクトでもある。容易くデザインが変わったりしてくれては困るのだ。その中身の重さに耐えうるデザインというのがある。それは時代を越えた歴史がささえている、というときだってある。最近,ちょっと忘れ難い写真をみた。ここの3月18日。これぞ本が生まれる所だ・・・。